クルマの安全は任せて――。
幕張メッセ（千葉市）で開催中の家電・ＩＴ（情報技術）の国際見本市「ＣＥＡＴＥＣ（シーテック）
ジャパン2014」では、自動車関連企業や電機メーカーがより安全な運転を実現するための
新技術を競って披露した。
ＩＴを活用したスマート・カー（賢いクルマ）の機能が広がりそうだ。

マツダは地図情報と全地球測位システム（ＧＰＳ）を組み合わせ、
車線を外れることなく安全に走行する研究車両を展示した。
「マツダ３（日本名アクセラ）」をベースにしており、米国のレース場で
７月に実施したテストでは約3.6キロメートルのコースを操作なしに完走したという。

今後、センサーなどの認識技術とも組み合わせ、運転手が体調を崩すなどの
緊急事態でも安全に走るクルマ作りを進める。

スタンレー電気は、対向車や歩行者のいる方向だけまぶしさを抑える
発光ダイオード（ＬＥＤ）式のハイビームヘッドランプを展示した。
４分割されたＬＥＤ光源が自動で点灯・消灯を繰り返す。
障害物のない方向は常にハイビームで照らすので運転手は遠くを見わたすことができ、
対向車はまぶしさが軽減されるメリットがある。

富士キメラ総研によると、走行の安全に関わる電子装置の
世界市場は2025年に13年の約２倍の約3.8兆円まで伸びる見通し。
自動車関連メーカー以外でも巨大市場を狙う動きが広がる。

シャープが初公開したのは、車を見下ろしたような映像で駐車を助ける
「360度フリービューシステム」。
車載カメラの画素数を従来の３倍超の100万画素に高めた。
赤外線カメラを組み合わせれば、真っ暗闇でも鮮明なカラー画像で車の周りを見渡せる。

オムロンは得意の計測技術を生かし、座席に座ったままで運転手の脈拍を測れる
システムを紹介した。運転手の眠気のほか、発作など身体の異常を検知する。

独コンサルティング会社ローランド・ベルガーで自動車部門を担当する貝瀬斉氏は
「斬新な発想は他業種から参入するメーカーのほうが強い」と指摘する。
開発企業が増えることで、安全技術の進化が加速しそうだ。

日本経済新聞　2014/10/9 0:25
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ0804F_Y4A001C1TI0000/