FCVの普及には水素ステーションのインフラ整備が不可欠。だがしかし、
1カ所設置するのに3億~5億円はかかるといわれる水素ステーション。インフラ側からいわせると、
「FCVが普及してくれないと水素を販売したとしても、とても採算が取れない」となる。
卵が先か、鶏が先かという話ではないが、両者ともに切実な問題だ。

さて、トヨタが世界初の市販FCV『MIRAI』を発表したのが11月18日。自治体などに向けて
そろそろ納車が始まることをうけて、昨年末になって急速に商用水素ステーションの整備や、
市販水素価格の設定が発表された。

まずは11月14日、岩谷産業が1kgあたり1100円と水素市販価格を発表した。続く12月18日、
東京ガスは東京都練馬区谷原に関東初の商用水素ステーションを開所。水素の価格については
MIRAIの納車が始まるまでに決めるとして、まだ確定はしていない。
そして12月25日、ENEOSのJX日鉱日石エネルギーが神奈川県海老名市に商用水素ステーションを
開所するとともに、1000円/kgで水素の市販を開始した。
今回開所したステーションはガソリンスタンド併設型で、これは国内初の形態となる。

同社の内島一郎取締役副社長執行役員は「経産省の示した戦略ロードマップでは、水素の価格について
’15年はガソリン車と同等以下、’20年にはハイブリッド車の燃料代と同等以下とすることを目標にする
とされています。今回設定した1000円という価格はガソリン車の燃料代よりも安くなるように、
ハイブリッド車に近い燃料代となるように設定したものです」と説明する。現実問題として、
1000円/kgの市販価格では、水素ステーションをビジネスとしてとらえた場合は採算は取れない。

MIRAIの場合、水素タンクは5kg充填。JC08モード走行で航続距離は650kmなので
実質航続距離は500km程度と考えると、水素1kgで100km走ることになる。
つまり100kmあたりの燃料代は1000円で、実燃費15・0kg/?程度のガソリンエンジン車と
ほぼ同等の燃料代ということになる。

全文　http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43184?page=3