「燃料電池車FCV」は日本だけの“ガラパゴス・カー”になる。その4つの理由
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141128-00010000-fsight-bus_all
トヨタ自動車は12月15日に世界で初めてとなる市販の燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」を発売する。
メディアでは連日、FCVを盛り上げる記事が掲載され、自動車専門誌も概して好意的な評価だ。
経済産業省は「水素社会の第一歩」と位置づけ、FCVの燃料である水素を充填する
「水素ステーション」の設置を税金を使って後押しする政策を打ち出している。
だが、トヨタが圧倒的に先行し、ホンダも含め日本メーカーが先行優位にあるとはいえ、
このFCVに未来があるかは不透明だ。むしろ世界には普及せず、
日本の一部だけでしか使われないガラパゴス・カー、“ガラカー”になる恐れもあるとみておくべきだ。
■「ゼロ・エミッション」ではない
FCVは、水素を吹き付けると空気中の酸素と反応し、発電する「フューエル・セル」と呼ばれる素子が
最大の技術要素だ。水が電気分解する逆工程の反応を実現したものである。電気でモーターを回して
走行する点では電気自動車(EV)の一種だが、バッテリーではなく、車上で発電する点が違う。
現状で、電気自動車とのもう1つの違いは、水素タンクを満タンにすれば、「ミライ」の場合で650キロの走行が可能で、
150~200キロにとどまっている純粋のEVよりもはるかに長距離走行が可能という点だ
しかも、FCVはEVと同様に排気ガスが一切出ない点で、クリーンな自動車でもある。
こう語れば、FCVが次世代の自動車の本命のように感じられるかもしれないが、
FCVが自動車の本流として世界に普及する可能性はきわめて低いだろう。
いくつもの課題があるが、まず立ちはだかるのは燃料である水素の供給だ。
水素は空気、水、石油、天然ガスなど様々なものに含まれており、水素製造の方法も多様だ。
太陽光発電などで水を電気分解する方法や天然ガスから水素を採ることも可能。原子炉の高温を使って水から水素を発生させることもできる。
そこをとらえて、「水素は空気や水から無限に取り出せるため、枯渇しない究極のエネルギー」
と無邪気なことを書くモータージャーナリストもいるが、実はこれはとんでもない間違いだ。
水素を水や空気から生産するのには莫大なエネルギーが必要であり、その投入エネルギーが
水素に置換されただけの話だ。投入エネルギーが化石燃料であれば二酸化炭素も発生しており、
ライフサイクルで見れば、決して「ゼロ・エミッション」ではない。
■困難な「水素輸送インフラ」の構築
さらに大きな問題は、水素の輸送インフラが地球上にはほとんどなく、ゼロから構築しなければならない点だ。
かつて、サウジアラビアの砂漠に太陽光発電パネルを並べ、発電した電気で水を分解して水素を生産し、
専用タンカーで日本に運べばいい、というアイデアを唱える人もいた。だが、水素は腐食性が強い気体であり、
きわめて爆発しやすく、爆発力も強力な物質である。耐腐食性の専用貯蔵設備が必要であり、
タンカーやパイプラインで長距離輸送するには向いていない。そのため、FCVに水素を充填する
水素ステーションを整備しようとすると、建設コストはガソリン、軽油などを売る通常のガソリンスタンドの5倍以上もかかる。
水素を生産し、輸送し、販売するのは、既存の自動車用燃料のなかで最も難しく、
コストも大きい。日本やドイツなど国土面積もそれほど広くなく、精緻な水素供給ネットワークを張り巡らし、
それをメンテナンスし、安全な操業が可能な国であれば、FCVの普及も可能性があるかもしれない。
だが、言うまでもなく、今、自動車の最大の市場は中国であり、モータリゼーションが進んでいくのは新興国、
これから自動車が普及するのは途上国である。新興国、途上国で水素を供給するインフラが整い、
燃料電池車が普及する可能性は50年以内には困難だろう。21世紀前半で自動車に求められる条件は、
途上国を視野に入れれば、燃料が安く手軽に安定的に調達できる、ということになる。水素はその条件からはずれる。
>>1
■国と自治体のバックアップ
トヨタが発売する「ミライ」は、税込みで723万6000円。
ドイツの高級車が十分に買える価格だ。これではとても売れないため、
国が1台あたり約200万円もの補助金を出し、何とか500万円台前半で買えるようにするという。
しかも、トヨタのお膝元の愛知県ではさらに県が約75万円の補助金を上乗せするため、
450万円前後になるという。燃料のインフラ構築にも国が資金支援をする予定で、
これから首都圏や関西圏には20~40カ所の水素ステーションが設置される。
トヨタが進めるプロジェクトだけに、国も地方自治体も全面的に
バックアップする形だ。無論、国がイノベーションとその成果の普及を後押しすることに異論はない。
だが、その程度の燃料インフラではユーザーの利便性からみてまだまだ実用性に乏しいし、
FCVが本当に将来性と普及の可能性、そこから広がる公共性を現状で持っているかと言えば、
難しいだろう。
たとえば、世界には途上国も含め、大きく2つの自動車向けインフラができている。
第1は、ガソリンと軽油の供給インフラだ。原油を製油所で精製し、
タンクローリーや小型タンカーで油槽所と呼ばれる2次貯蔵拠点に運び、
そこからガソリンスタンドに運ぶというネットワークは、
先進国はもちろん、途上国にもかなりできあがっている。
第2は、送配電網だ。EVは、急速充電機などを備えた専門の充電ステーションだけでなく、
家庭や駐車場、街角でも、電線が伸びてきている場所であれば時間はかかったとしても
充電はできる。そうした姿は、電動バイク、電動自転車が年間3000万台以上も
売れる中国では当たり前になっている。電力インフラは自動車用にも簡単に転用でき、
力を発揮する。そして何より、EVは走行コストがガソリン車の3~4分の1以下という安さも競争力になっている。
こうした既存のインフラを押しのけて、巨額の資金を投じて水素ステーションを
各地に建設しようという機運が、果たして日本以外の国に広がるだろうか?
可能性はきわめて低いだろう。とすれば、日本が官民あげて
FCVの普及に力を入れても、日本だけが突出し、
世界のスタンダードにはならない商品になってしまう可能性がある。
高度で精緻だが日本でしか普及しなかったために「ガラパゴス化」した携帯電話、
いわゆる「ガラケー」と同じ轍にはまる危険性が極めて高いのだ。
■米欧メーカーの「痛い教訓」
もちろん、そうした「ガラカー化」を警戒し、トヨタは独BMWとFCVで連携を組んでおり、
ホンダは米ゼネラル・モーターズ(GM)、日産自動車は独ダイムラー、米フォードと組んでいる。
米欧メーカーもFCVの技術的な潜在力をまだ追求しようとしている。
だが、それをもって、トヨタ以外がFCVを将来の商品として考えているかといえば違うだろう。
あくまで、技術的な劣後を警戒した行動なのだ。米欧メーカーには、
トヨタが世界で初めて市販車として世に送り出したハイブリッド車(HV)の痛い教訓があるからだ。
トヨタのHV開発を甘くみたことで、HVの普及に乗り遅れ、
環境車全体でもトヨタの後塵を拝するようになったという考えが、FCVでもトヨタに追随する動きになっている。
FCVはきわめて意味のあるイノベーションであり、
いつの日か、何かの形で大きな存在になる可能性は十分にある。
だが、これから20~30年という期間で、世界中の車社会に与える
インパクトは決して大きくはないだろう。優れた技術が必ずしも「勝ち組」となるわけではないのは、
主に1980年代後半に戦われたビデオ規格におけるソニーのベータ方式の敗北が証明している。
トヨタの「ミライ」はじめ、日本の自動車メーカーが注視するべきは、技術の先進性だけでなく、
新興国、途上国への普及の可能性なのだ。
ジャーナリスト 新田賢吾
>日本やドイツなど国土面積もそれほど広くなく、精緻な水素供給ネットワークを張り巡らし、
>それをメンテナンスし、安全な操業が可能な国であれば、FCVの普及も可能性があるかもしれない。
ここは日本です^^
日本だけで普及してもガラカーになるって話だろ
「水素は空気、水、石油、天然ガスなど様々なものに含まれており、」ってねぇ。
空気の主成分は窒素と酸素で、CH4とかH2Oなんてほとんどないぞ。
どっから水素もってくるんよ?
>>6
>この筆者、頭大丈夫か?
筆者は「水素を水や空気から生産するのには莫大なエネルギーが必要であり、その投入エネルギーが水素に置換されただけの話だ。」
と言ってるじゃないか。
バカなの?
水蒸気が大量に入ってるだろw
コージェネではすでに主流じゃね
ガスから水素を抽出して水素発電しているんだろ?
>水素を生産し、輸送し、販売するのは、既存の自動車用燃料のなかで最も難しく、
>コストも大きい。
水素は水と電気が有れば外部から水素を供給されなくても
スタンドで生産が可能なんだけどな
この程度の事知らない奴がジャーナリストとかか勘弁してくれよ
だったら電気をそのまま充電したほうがよくね?
充電は時間かかるし航続距離も足りないからなぁ…
既存インフラからの圧力あるだろうし。
どっちに投資しても全部無駄とかならないからいいんじゃね
EVは電池の性能がなかなか上がらないし、充電時間と言う問題が残る
>>43
トヨタとかがEVに熱心でないのは充電時間の問題だよね
長距離運転の途中でいちいち時間かけて充電しないといけない車が
市場を支配するのは難しい
化学工場では製造過程で生成されてしまうお邪魔な水素もあるし、厄介者を換金
出来るから喜んでインフラ整備に協力する企業・業界も出て来そう
1km当たりのコスト見てワロタ
最低で5円、今のハイブリッドと同じとこまで政府支援で持って行かなきゃいけないだろう
日本で標準にならないと世界には持って行けない
短距離~中距離
電気自動車
中距離~長距離
プラグインハイブリッド
この組み合わせが鉄板。水素自動車に未来がないのは確か。
加速の遅さが抜けてる。0ー100km10秒じゃな~。
EVは加速がバカっ早い所とランニングコストの安さ。
デメリットを差し引いても買いたいと思わせる魅力が欲しいんだよ。
既存のガソリン車を超える魅力部分が…何がある?
ゼロエミッションじゃないってのは電気自動車含めすべてそうだと思うが
まあそれはおいておいても
水の輸送インフラはあるんだから、必要なところで電気分解すれば
水素輸送はいらないんじゃね?
JXホールディングスや東京ガス、大阪ガス等が水素ステーションを作るってさ
ガス会社は余剰物で水素が出てしまうから捨て場所に困っててできれば販売したいんだとよ
従来は水素スタンドを一つ作るのに5億円かかると言われてたけど
現在は2億円までコストダウン成功したってさ。
意外と早くFVCのインフラは整備されるかもね。
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コメント
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コメント (9)
ターボ車もディーゼル車もハイブリッド車もEV車も出た時おんなじ事言ってるよ。
×HVで出遅れた海外メーカー
○HVがガラパゴスに終わったトヨタ
ぶりうすってかいがいのほうがおおいんじゃなかったっけ?
今になってなんで欧州車メーカーはこぞってHVの技術提携してるんですかねえ?
ダウンサイジングターボで次の排ガス規制に対応できるんですかねえ?
対応出来てるんならHVの技術提携なんてしなくていいですよねえ?
なんにでもガラパゴスとさえ言っておけば意見が正しいと共感してもらえると勘違いしている輩がやたらに増えているね。
まあインフラが難しいのは確か。
だからこそ新しいインフラを必要としないハイブリッドを繋ぎに使ってたわけだが、
それを流行らないと高を括ってたらいつの間にか席巻されていた海外メーカーの間抜けさだな。
ガラパゴス=特殊変異みたいな言い方だが
日本の場合は、世界の10年先をいっているんだよ
携帯だって、最近やっと日本の10年前に世界が追い付いてきた状態
その中、日本でiPhone流行りだが、欧米じゃあもうマイナー機種なんだけどね。。。
iPhoneをガラパゴスという奴はいないんだろうなぁ。。。
良くも悪くも、トヨタが儲からないことはしない。
ttp://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12136862632
FCV(燃料電池)車も、日本のガラパゴス化しないでしょうか?
EU諸国も水素スタンドの設置を急いでいるのでしょうか?
ベストアンサーに選ばれた回答
e60fuenfer1さん
●欧州情勢・・・ちょうど1年ほど前ですが,欧州でも大規模に水素ステーションを整備する動きが始まっています。
・ダイアラー+ロイヤル・ダッチシェル … 2023年までにドイツに400個所建設(投資は460億円,現在は15個所のみ) → アウトバーンでは90kmおきに,大都市部では10個所ずつ
・リンデ社 … 水素充填装置で世界の80%以上 → 日本からの需要あり
・欧州ガスパイプライン … ノルウェーに天然ガス改質型の水素供給設備があり,それをすでにあるガスパイプライで主要な欧州拠点に供給可能
●燃料電池自動車技術・・・2000年代初期には,欧州のダイムラー社やカナダのバラード社が進んでいました。しかしすぐにトヨタ,ホンダ,日産が追いついて,現在は,日本が世界トップの技術をもっています。しかし2015年からの共同評価にはダイムラー=日産グループも2年遅れくらいで参加します
●どうして燃料電池なのか?・・・すべて電池の性能からスタートしています。バッテリ搭載型電気自動車で良いはずです。しかしリチウムイオン電池の体積エネルギ密度はガソリンのわずか2%しかありませんので,たとえ電気自動車の動力効率がガソリン車の4倍であっても実用的な使い方はできません。
(中略)
●化石燃料は?・・・化石燃料は,あと30年くらいで無くなるといわれていましたが,シェールガスやシェールオイルの影響で,あと数十年は大丈夫かなといわれています。それでもあと数十年しか無いので,次の一次エネルギを探す必要があります。
太陽光や波力や風力はいずれも天然ガス/石炭発電より高いコストのため補助金頼みです。つまりいずれは補助金が廃止され,普及速度が緩みます。それを考えると,現在,停止している発電装置を何とかしないとヤバイ状況になります。そういういろいろなことを考え,遠い先?の化石燃料の枯渇を見据えて,いまから準備をしているのがFCVで,決してガラパゴスではありません。