四駆(4WD)のシステムまとめ
4WDの車についてのまとめではありません!
引用元:4WD総合スレッドPart.25
4WDシステムの種類
四駆は大別すると「1. パートタイム式」「2. センターデフ式」と「3. トルクスプリット式」「4. モーター式」に分けられる。
1. パートタイム式
ドライバーが任意に二輪駆動と四輪駆動の切り替えを行う事ができる4WDシステムの事。
レバー式やボタン式、ダイヤル式などの方式がある。
一般的には
- 2WD(2H)
- 直結4WD High(4H)
- 直結4WD Low(4L)
- ニュートラル(N)
の4ポジションがある。
直結4WDモードは差動装置を持たない為、このポジションでの走行は主に路面の抵抗が少ない悪路専用である。
舗装路では旋回時にタイトコーナーブレーキング現象が発生する為、
2WDを選択して走行する事になる。
2. センターデフ式
前後トルク配分はベベルギアを使った50:50の等配分、プラネタリーギアを使った30:70などの不等配分で固定されている。
パートタイム式は、旋回時にタイトコーナーブレーキング現象が発生する為、
4WD状態で舗装路を走行する事はできないが、センターデフ式では前輪と後輪の回転差はセンターデフが吸収するので、
舗装路でも4WDで走行する事が可能である。
しかしデフの働きで1輪でも空転すると、エンジン出力はその空転するタイヤに集まってしまい、スタックし易くなってしまう。
それを防ぐ為、センターデフに差動制限装置が付けられている事が多い。
差動制限装置は、パッシブ式はビスカスLSDやトルセンがあり、
アクティブ式は電子制御多板クラッチがある。また、センターデフの差動を停止させる装置(センターデフロック)もある。
3-1. パッシブトルクスプリット式
入力軸と出力軸の回転差を利用してトルクの伝達を行う装置を利用して4WDにする仕組みになっている。
トルク伝達の特性はメカの仕組みやチューニングによるところが大きく、
初めからプリロードがかかっているものや、
必要の無い時には完全に二輪駆動になる事を目的にしたものも存在する。
3-2. アクティブトルクスプリット式
走行状態によってほぼ二輪駆動からほぼ直結4WDまでコンピュータでコントロールされるシステム。
コンピュータ制御によって駆動を自由に設定できる事から、
通常は二輪駆動を基本にするものや常に四輪駆動にしているものがあり、
制御は車種によってかなり異なる。
一般的な制御は、発進時はほぼ直結4WD状態にし、発進後は回転差を許容する為の弱い結合、
低速で操舵を感じたらほぼ2WD、ABSが働くブレーキならクラッチを弱めて、前後輪の回転差が大きくなれば直結4WD状態にして、その状態が長く続くと2WDにしているものと思われる。
四駆(4WD)関連の用語解説
- デフ(Diff)
ディファレンシャルギア(Differential gear)の略で、差動装置や差動歯車という意味。
これは駆動する二つのタイヤの間に取り付けられ、トルクを分配したり回転の差を調節(吸収)したりする。
ちなみに回転差を吸収する事を差動という。
車がスムーズに曲がる為にはなくてはならない装置だが、弱点が存在する。
どちらか片方のタイヤが空転した場合、そのタイヤにトルクが集まってしまい、反対側のタイヤは停止してしまう為、
タイヤが空転しやすい路面や地形ではスタックし易くなってしまう。
この対策として、デフにLSDやデフロックを組み合わせてトルクの流出を防いだりする装置が存在する。 - エルエスディー(LSD)
リミテッドスリップデフ(Limited Slip Differential gear)の略で、差動制限装置という意味。
デフの「空転するタイヤにトルクが流出してしまい、反対側のタイヤは停止してしまう」という働きを制限する事ができる。
LSDは大別すると「回転差感応型」と「トルク差感応型」がある。
回転差感応型は、回転速度の差が発生すると回転の速い側から遅い側へトルクの伝達が穏やかに行われる。
これはビスカスカップリングがよく使われている。
トルク差感応型は、トルクの差が発生するとトルクの大きな側から小さな側へトルクの伝達がほぼ一気に行われる。
ウォームギア式(トルセン式)、ヘリカルギア式(トルセン式)、
スライダーカム式(ダイハツ:ダイレクトトラクション式)、カム式(スバル:シュアトラック式)などがある。
- 電子制御LSD
トラクションコントロールシステム(TCS)を利用してデフのLSDと同じ効果を出すシステムや、センターデフの差動制限装置に使われる電子制御多板クラッチの事を言う。
前者のTCSを利用したシステムは、ブレーキシステムを使う事からブレーキLSDともいわれる。
このシステムの大まかな仕組みは、車輪速センサーで空転しているタイヤを検知し、
コンピュータが空転しているタイヤにブレーキをかけて、疑似LSD効果で反対側のタイヤにトルクを伝達するというもの。
ちなみにこの装置が無くても、フットブレーキや駐車ブレーキで
これと似た様な事ができるが、アクセルを踏みながらブレーキをかけるのは駆動系に負担がかかり、
不適切な操作を行うと破損する場合がある。 - デフロック
ディファレンシャルギアロックの略で、差動停止装置という意味。
デフの「空転するタイヤにトルクが流出してしまい、反対側のタイヤは停止してしまう」という働きを防ぐ事ができる。
この装置を作動させると、タイヤが完全に宙に浮くような地形を走る時でも駆動力が確保できるので、悪路走破性は向上する。
LSDと比べると、LSDはデフの差動する機能をある程度制限して
回転差が発生する余地を残しているのに対し、デフロックはデフの差動する機能を完全に停止させるので回転差が発生しない。
この装置は主にセンターデフ式のセンターデフに付けられ、
ドライバーのスイッチ操作でセンターデフの差動装置を停止させて直結4WD状態にする。
また、オフロード4WDや一部のトラックにはリアデフやフロントデフのロックが可能なものがある。
- トランスファー
FFやFRを4WD化する時に非駆動輪であった側へ伝達するトルクを取り出す装置のこと。この装置はトランスミッションとプロペラシャフトの間に取り付けられている。
パートタイム式はこの装置で2WDと4WDの切り替えを行う。オフロード4WDなどにある副変速機もこの場所にある。
FRベースのトランスファーのレイアウトは「3軸式」と「センタースルー式」がある。
3軸式は、入力軸、アイドル軸、出力軸の3本の回転軸が横に並び、前後のプロペラシャフトは同軸上に並びオフセット配置される。
4WD時は前後のプロペラシャフトが直結される為、高い信頼性があると言われており、
オフロード4WDの代名詞であるジープがこれを採用している。
センタースルー式は、トランスミッションからリアプロペラシャフトまで一直線に並び、フロントプロペラシャフトはオフセット配置される。
オフセット配置されたフロントプロペラシャフトへの伝達はチェーンまたはギアで行われる。
- フリーホイールハブ(フリーアクスル)
パートタイム式の2WD走行時に、走行抵抗の軽減を図る目的で非駆動輪を切り離す為の装置。
車輪とドライブシャフトを切り離す装置をフリーホイールハブといい、フロントのドライブシャフトの片側を切り離したり、デフケースで切り離したりする装置をフリーアクスル機構という。
パートタイム式の切り替え操作は、トランスファー部でエンジン出力を非駆動輪へ伝えなくする措置であり、
この状態で走行すると、前輪の回転は
フロントドライブシャフト→フロントデフ→フロントプロペラシャフトへと伝わってしまい、走行抵抗が増大する。
その為、フリーホイールハブといった非駆動輪と駆動伝達系の切り離し装置が必要になる。
操作方法は、車を停止させた後に車外に出て、
ホイールに付けられているレバーで切り替えるというものが一般的だったが、
現在のものは、車内にある切り替え装置での操作と連動してハブやアクスルの切り替えを自動で行うものが多く、一部の車種には
走行中に切り替え操作を行える様にしているものもある。
ちなみに、トルクスプリット式の2WDと4WDの切り替えができるタイプには、
ハブやアクスルの切り離しをする機能はない為、2WDと4WDとでは燃費は余り変わらないと言われている。
- 直結4WD(リジット4WD)
前輪と後輪の回転差を吸収する装置がないパートタイム式の4WDモードや、センターデフ式などの前輪と後輪の回転差を吸収する装置が働かない状態にしてある事を言う。
前後輪の回転差を調節する装置はないので、悪路走行時では高い走破性と直進安定性が発揮される。
しかしグリップの良い舗装路でのコーナリング時では、タイトコーナーブレーキング現象が発生してしまったり、
急ブレーキ時では四輪がロックし、スピンし易いなどの弱点がある。
ABSに関しても、2WDなどの車は車輪速センサーで各タイヤの回転速度を検知する事が出来るが、直結4WDの場合は四輪がロックしてしまう事から、
各輪の回転速度の検知が難しくなるという。 - タイトコーナーブレーキング現象(タイトコーナーブレーキ現象)
直結4WDで、舗装路などグリップがよい路面を曲がっている時にブレーキがかかった様な状態になる事を言う。
前輪と後輪の回転差を吸収する装置がない、または働かない状態にさせている為に発生する。
車両が曲がる際、前輪よりも後輪の方が内側を通るので、
回転数が前輪>後輪と差が出る。
直結4WDでは同じ速度で前後のタイヤを回そうとする為、後輪が駆動系を通じて、速く回ろうとする前輪にブレーキをかける事になる。
この現象は駆動装置にとって悪いものであり、最悪の場合は駆動装置が破損する場合がある。
その為、舗装路ではパートタイム式は2WDで、センターデフ式はセンターデフロックを解除して走行する。
なお、グリップの悪い雪道や砂利道などでは、
タイヤがスリップし易い路面の為、駆動装置に負担がかからず問題はない。
- トルク配分
雑誌などで目にする「前後輪のトルク配分は50:50」。これは主にエンジンから出るトルクを100とした場合の、前輪と後輪へ配分するトルクの比率を表している。
センターデフ式は50:50や30:70、アクティブトルクスプリット式は0:100~50:50などと表される。
その為、直結4WDでも50:50と表される事が多いが、
直結4WDは各タイヤの加重の状態により伝達トルクが変化する為、トルク配分は無いと言われている。
トルクスプリット式では、クラッチの滑り具合と結合力によりトルク配分を制御しているが、結合力そのものが分配率ではなく
分配の上限を制御している事になる。よって、クラッチが滑っていない状態では
直結4WDと同様にトルク配分が無い状態となる。
4WDシステム解説
【パッシブトルクスプリット式】
- ビスカスカップリング式4WD
- Vフレックスフルタイム4WD(トヨタ)
前輪と後輪の間にビスカスカップリング(VC)を付けて前輪と後輪の回転差でトルクの伝達を行う。
通常は、オイルとプレート間で発生する剪断応力によってトルクの伝達を行っているが、 スタックなどで片方が回転せず一方が激しく回転した場合は、 ハンプ現象と呼ばれるオイルの膨張で入力軸側のプレートと出力軸側のプレートが密着し直結4WD状態になる。
- ロータリーブレードカップリング
- フレックスフルタイム4WD(トヨタ)
前輪と後輪の間に、ロータリーブレードカップリング(RBC)を付けて前輪と後輪の回転差でトルクの伝達を行う。
カップリング内は、多板クラッチがあるトルク伝達部とファン状のブレードがある圧力発生部に分かれている。回転差が発生すると圧力発生部のブレードが回転して圧力が発生し、これが多板クラッチを押しつけてトルクの伝達を行う。
ブレードの形状を非対称にしたものは、 入力側と出力側のどちらかの回転速度が速くなった場合にトルクの伝達量を変える事ができるので、ABSとの干渉をある程度防ぐ事ができる。
ちなみにこの機構は自動で直結4WD状態になる働きはない。
また、カップリング内の圧力は低いので、ケースの強度はそれほど必要ないこの事から小型軽量化が可能とされ、 このシステムは軽乗用車やコンパクトカーに多く採用されている。
- アキシャルピストンカップリング
- オートコントロール4WD(日産)
前輪と後輪の間にアキシャルピストンカップリング(AXC)を付けて、 前輪と後輪の回転差でトルクの伝達を行う。
4山のなだらかなカムリングと7つのピストンを備えたローター、オイルの流れを制御するバルブで構成されている。
低速と高速で伝達トルクが異なり、低速では伝達トルクが大きく、回転差が大きくなると直結になる。
高速の場合は伝達トルクが小さく直結にもならない。 - リアルタイム4WDデュアルポンプシステム(ホンダ)
リアデフ手前にデュアルポンプシステムを付けて前輪と後輪の回転差でトルクの伝達を行い、前輪側のオイルの吐出量と後輪側のオイルの吐出量の差でクラッチの圧着を行う。
このシステムが他のパッシブトルクスプリット式にない特徴としては、 前進減速時に起こる、後輪の回転が前輪の回転を上回った場合には4WD状態にならずABSの作動と干渉をしない点が挙げられる。
伝達レスポンスの悪さは現在では改良され、初期のクラッチ圧着は回転差によりボールカムがクラッチを圧着する事によりトルク伝達を行う様になっている。
【アクティブトルクスプリット式】
- アクティブトルクコントロール4WD(トヨタ)
- オールモード4X4-i(日産のFFベース)
- ATTESA E-TS(日産)
- アクティブトルクコントロールカップリング4WD(マツダ)
- 電子制御4WD(三菱)
- i-AWD(スズキ)
- アクティブトルクスプリットAWD(スバル)
- ハルデックスカップリング
- xDRIVE(BMW)
- 911(997)(ポルシェ)
トランスミッションからの副駆動輪側への出力に、電子制御多板クラッチを付けて副駆動輪へトルクの伝達を行う。
前後トルク配分の制御は、基本的には四輪の車輪速センサーやスロットル開度の情報で行われる。
一部の車種では運転操作や走行状態、路面の状態を把握するセンサーを採用する事で
コーナリング時にアンダーやオーバーを抑え、
曲がり易い様にトルク配分をコントロールしているものがある。
- TRACK-LOC(クライスラージープ)
センターデフに、多板クラッチを用いたメカニカルLSDを使用して差動制限装置としたもの。
- 電子制御フルタイム4WD i-Four(トヨタ)
- ACD(三菱)
- VTD-AWD(スバル)
- DCCD(スバル)
- カイエン(ポルシェ)
- 4MATIC(ベンツ)
- ランドローバー
- ELSD(クライスラージープ)
センターデフに電子制御の多板クラッチを差動制限装置として組み合わせたもの。
車輪速やGセンサー、ハンドル舵角、アクセル開度などのセンサー情報を元に、
コンピュータがセンターデフの差動制限装置をコントロールしている。
差動制限装置をコンピュータ制御で能動的に変化させる事ができる事から、
センターデフのギア比で設定されたトルク配分から直結4WDまでの変化になる。
【その他の方式】
- SH-AWD(ホンダ)
Super Handling AWDの略で、「四輪駆動力自在制御システム」という。
このシステムは、後輪左右に独立した2つのダイレクト電磁クラッチとプラネタリギアを設け、
クラッチの滑らせ具合をコントロールする事により左右の伝達トルクを制御するというもの。
ちなみにリアに一般的なデフはない。
また、レジェンドではプロペラシャフトの手前に2段の増速機構があるのが特徴。
2段の増速機構により、コーナリング時には後輪側をより速く回す事によって外側の車輪に多くの駆動力を伝達する。
Q1.4WDとAWDって違うの?
A1. 4WDは「4 Wheel Drive」の略で、四輪駆動っていう意味。
AWDは「All Wheel Drive」の略で、全輪駆動っていう意味。
Q2. 50:50と直結4WDって同じでしょ?
A2. 違う。50:50は、前輪と後輪のトルク配分の比率を表してる。
直結4WDは、前輪と後輪の回転差を吸収する装置が無いものや、前輪と後輪の回転差を吸収する装置が働かない状態にしてある事を言う。
Q3. スバルのVTDーAWDとアクティブトルクスプリットAWDの違いって、トルク配分だけでしょ?
A3. もっと正確に言うと、センターデフの有無である。
VTD-AWDはセンターデフのお陰で常に四輪駆動状態で走る事ができるが、
アクティブトルクスプリットAWDは状況によって前輪駆動で走る事になる時がある、という大きな違いがある。
Q4. 高級車が採用する4WDシステムのi-Four、アテーサET-S、SH-AWDの中で、どれが一番優れてるの?
A4. 余り変わらん。でもこの中で唯一センターデフがあるi-Fourは信頼性の面では他より少し上か?
Q5. 普段フルタイム式に乗ってて何か良かった事ってあった?
A5. 発進時と脱輪
Q6. 四駆なら雪道で夏タイヤで走行してもOK?
A6. NG。走れるが止まれない。素直にスタッドレスを履くかチェーンを巻く様に。
- トヨタの現行車で一番カッコイイのは何?
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