判決は１２日付。業者側は、実質的経営者の６０歳代男性が同市郊外の廃棄物保管場で車を盗まれたと主張していたが、
佐藤由紀裁判官は「盗難は男性による偽装の疑いがある」と指摘した。

　読売新聞が正規の手続きで閲覧した訴訟記録によると、業者側は保険会社に対し、男性が２０１３年１０月１４日に
保管場の駐車場に車を止め、その日は保管場で使っているショベルカーで帰宅したが、１８日に再び保管場を訪れると
車が盗まれていたと説明。疑念を抱いた保険会社側が保険金の支払いを拒んだため、翌１４年７月に提訴した。

　男性は今年３月、証人として出廷。「車の鍵を自宅に忘れて来ないよう、タイヤの上に隠しておいた」などと述べ、
車の管理に落ち度はなかったと主張した。さらに、「日記の代わりに撮っていた」という保管場での車の写真を基に盗難の
経緯も説明していた。

　これに対し、判決は「保管場の敷地外から車を見ることは難しく、第三者が偶然に車を見つけて盗み出すことは考えづらい」
と指摘。その上で、男性の証言も「鍵をタイヤの上に置いたという主張は奇異で、『車の管理に落ち度があった』と判断され
ないようにしたものだ」と認定した。

　また、車の写真についても「車を中心的な被写体としており、いかにも車の存在を示す証拠にするためのようなアングルで、
極めて不自然」とし、「第三者による盗難だという立証が不十分なだけではなく、男性が盗難を偽装した疑いが拭えない」と結論づけた。

　業者側は、１３年１０月１８日付で県警に被害届を提出。男性は県警や保険会社側の調査員に対し、当初は
「車の鍵は車内に置いておいた」と説明していたという。
2015年05月18日 14時47分

http://www.yomiuri.co.jp/national/20150518-OYT1T50033.html